2013年8月10日土曜日
【狛犬アルバム】六郷神社(東京都大田区東六郷)
六郷神社は多摩川の河口近く、京急線の六郷土手と雑色の間にある神社です。大田区最古の参道狛犬がいると聞いてやってきました。2013年8月に訪問しました。
<設置されている場所>
拝殿の前
<台座の年号>
昭和十二年(1937年)
拝殿前には高い台座の上に立派な岡崎現代型の狛犬がいました。戦後のものほど画一化されたデザインではありません。胸や前脚の筋肉が浮き出るように彫られており、とてもたくましい狛犬です。
なお、台座には昭和十二年(1937年)とありましたが、下記のホームページによると大正八年(1919年)のものとのことです。
◆「大田区最古の狛犬、六郷神社の狛犬」(大田区の狛犬を訪ねて) - 現在鎮座している狛犬は大正8年のもの、台座を昭和12年に改修して高くしているようだ。
<設置されている場所>
社務所前庭
<台座の年号>
貞享二年(1685年)
お目当てのはじめ狛犬は、なんと祠の前ではなく、前庭の井戸の前に置かれていました。
なんと個性的な顔の狛犬なのでしょう。大きく窪んで彫られた横長の目と、大きな豚鼻、そして綺麗に並んだ歯。阿吽に彫り分けられていますが、阿型の歯は横から見ると少し出っ歯になって前に飛び出しているところも、愛嬌があります。
なぜか阿形にははっきりと耳が彫られているのに対して、吽形は頭の上に小さく彫られています。もしかすると阿形が立て耳、吽形が伏せ耳なのかもしれません。また阿形の耳が渦巻き状に彫られているところが特徴的です。たてがみ、あご髭、肩のあたりと前脚に毛並みが彫られていますが、阿吽で微妙な彫り分けが見られます。尾は根元で左右に少し分かれますが、そこからまっすぐな尻が体にそって彫られています。
はじめ狛犬の多くは腹の下はくりぬかれていないのですが、この狛犬は綺麗に腹の下がくりぬかれており、前脚と後脚がはっきりと彫られている点が特徴です。
さすがに区内最古とあって有名狛犬となっており、神社の公式ホームページや大田区のホームページにも紹介がありました。
◆「六郷神社 » 境内散策」(公式ホームページ) - 神社神楽殿の前庭に置かれている狛犬は、独特のユーモラスな姿をしており、その造形の豊かな芸術性とともに、区内でいちばん古い狛犬として、大田区の文化財に指定されています。左側の呵形は耳を付け、高さ約45cm、胴の長さ約50cm。右側の吽形は角を3つ付け、高さ約45cm、胴の長さ約52cmです。
◆「狛犬(六郷神社)」(大田区ホームページ) - 貞享2年(1685年)に六郷中町の人々が願主となり、現世と来世の二世安泰を祈って奉納しました。区内で最も古いもので、石工は三右衛門と刻まれています。区指定文化財。この他、六郷神社では都指定文化財である流鏑馬が毎年1月に行われています。
ちなみに六郷神社の境内は広く、大きな鳥居に石造りの立派な太鼓橋もありました。神社の案内によるとこの神社が面している大通りはかつての東海道(今は第一京浜)であったとのこと。多摩川近くの古くから交通の要衝であったこの地の歴史の古さを感じる神社でした。
<基本情報>
六郷神社
東京都大田区東六郷3-10-18
大きな地図で見る
<関連サイト>
◆「六郷神社<六郷の総鎮守>」(公式ホームページ)
◆「大田区最古の狛犬、六郷神社の狛犬」(大田区の狛犬を訪ねて) - 江戸時代の製作で、大胆な推測をすれば石工は何をモデルにしたのだろうか、当時珍重された「狆(チン)」ではないだろうか。しかし、横から見ると前足の所に獅子が持つ羽のようなものがある、この羽のような毛を「走毛」という説もある。獅子からイメージしたものであろうか。