2010年2月14日日曜日

【狛犬の歴史】0. はじめに

■はじめに
 狛犬は、古くは獅子・狛犬と呼ばれ、左右で別の獣として区別されていました。現在では一対で狛犬と呼ばれていますが、優雅に流れるたてがみからその由来が獅子(ライオン)にあることを知ることができるでしょう。それでは、日本には生息しないはずのライオンがどのようにして日本に伝わり、そして狛犬と呼ばれ、神社に置かれるようになったのでしょうか。

 日本の狛犬のルーツをたどると、古代オリエント、メソポタミア、エジプトにまで遡ることができます。そこで生まれた獅子座の思想が、アレクサンダー大王の東征によりインドにもたらされ、仏教と出会います。そして仏教とともに中国に伝わったライオンは唐獅子となり、やがて奈良時代の日本に伝えられたのでした。当初は宮中の金属製の置物であったものが、やがて仏師によって木彫りで造られるようになり、日本独自の獅子・狛犬という形態となったのです。それが、室町時代の頃から神社の境内に進出し、今われわれが目にする石造の参道狛犬という形式が確立したのは江戸時代のことでした。江戸末期から、明治・大正時代が狛犬の黄金期と呼ばれており、現在われわれが目にすることの出来る狛犬の多くがこの時代に造られたものです。

 それでは狛犬のルーツを古代オリエントの時代から詳しくひもといていきましょう。