■3. 狛犬の左右
通常は本殿から見て左側に阿形、右側に吽形が置かれていますが、この左右の区別の由来は古代中国にさかのぼります。
古代中国において南向きに座っている天子から見て左側は東であり太陽の昇る方向でした。そのため、左側(東)が上位、右側(西)が回であるという左優位の思想が誕生しました。その思想は日本にも伝わり、神社や寺院においては、神や仏から見て左(礼拝する人から見ると右)にあるものが上位とされたのです。獅子が左で、狛犬が右であるということ、「獅子・狛犬」の順に呼ぶことは、獅子の方が狛犬よりも上位であるということを意味しています。ではなぜ獅子が狛犬より上位かというと、当時の日本人は獅子は中国本来の動物で、狛犬は中国に対する異国の獣であると考えていた(「狛」という語は広く「異国のもの」)を指す語だと考えられる)からではないかといわれています。
つまり、本来は左側に獅子、右側に狛犬だったのですが、その後獅子・狛犬の区別がなくなると、左側が阿形、右側が吽形というようになっていったのでしょう。