2011年2月25日金曜日

【狛犬アルバム】八坂神社 その1(京都市東山区祇園町北側)



<設置されている場所>
東大路通りに面した楼門前

<台座の年号>
大正十五年十二月(1926年)

<訪問メモ>
 2009年11月に訪問、私が狛犬にひかれるきっかけとなった狛犬です。その後、2011年2月にも再訪。

 東大路通りを見下ろすようにかまえている大型のブロンズ製の狛犬です。鎌倉時代の木製狛犬をモデルにつくられたようですが、とにかく迫力がすごい。京都の街ににらみをきかせているかのようです。後ろからみた際の体つきや、犬歯の大きさなどから、獰猛な肉食獣の印象を与えています。

 実は八坂神社には境内にもたくさんの狛犬がいます。楼門を入ってすぐにある狛犬は、実はもともとはこの狛犬の位置にあったとのこと。また、台座に大正十五年十二月奉納とありますが、大正は十五年までですよね。このあたりの事情は、以下のサイトに詳しいので、興味をもたれた方はご覧ください。

◆「顔を奪われた狛犬――八坂神社と伏見稲荷」(狛犬について私の知っている2、3の事柄)

<基本情報>
八坂神社
京都府京都市東山区祇園町北側625


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<関連サイト>
◆「八坂神社」(公式ホームページ)
◆「八坂神社」(Wikipedia)
◆「顔を奪われた狛犬――八坂神社と伏見稲荷」(狛犬について私の知っている2、3の事柄)

2011年2月23日水曜日

【狛犬アルバム】目黒不動尊 その4(東京都目黒区下目黒)



<設置されている場所>
仁王門の裏
階段の途中、不動明王像の近く
拝殿の左側

<台座の年号>
天保十一年(1841年)

<訪問メモ>
その3からの続きです

 ここではその他にもたくさんあった目黒不動尊の狛犬を紹介します。

 仁王門には表側には金剛力士像があるのですが、その裏側に石膏で出来た白い狛犬があります。顔がやや小降りで、表情に迫力があります。籠神社型といわれるタイプです。よく見られる形ですが、白い狛犬というのは目を引きました。これはこの仁王門の仁王像を作った後藤良という彫刻家が製作した狛犬の原型で、彼の死後、昭和53年に寄進されたものです。ちなみに、靖国神社の狛犬もこの後藤良によって製作されたものということです。

 また拝殿に向かう途中、階段の右側に一対の狛犬を発見しました。小さめの狛犬ですが、丸みを帯びたブロンズ製で、背筋をピンと伸ばして阿吽が向かい合っています。よく見ると首飾りをつけています。サイズといい、上向きの表情といい、とても可愛らしい狛犬です。

 拝殿前にあがると、左側に相方を失った阿形のみ一匹の狛犬がいました。反時計回りに渦をまいた尾が特徴的。たてがみと眉が一体化していて、不思議な面持ちをしています。二段になっている台座にほどこされた彫刻はともに見事なもの。失われた吽形が残念です。台座には天保十一年(1841年)とありました。

 その他にも境内には狛犬、山犬像、不動明王像など多数の石像がいたるところに無造作に置かれています。密教系の寺院ならではのカオスでした。

<基本情報>
目黒不動尊・瀧泉寺
東京都目黒区下目黒3丁目20-26


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<関連サイト>
◆「目黒不動尊」(公式ホームページ)
◆「瀧泉寺」(Wikipedia)
◆「原型と狛犬 〜 籠神社 → 目黒不動尊 → 靖国神社」(狛犬の杜・別館)
◆「狛犬の作者」(狛犬について私が知っている2、3の事柄)

【狛犬アルバム】目黒不動尊 その3(東京都目黒区下目黒)



<設置されている場所>
階段の上、拝殿の前

<製作年>
承応三年(1654年)

<訪問メモ>
その2からの続きです

 階段を昇りきった所に設置されているのが、目黒不動尊の狛犬の中でも最も有名な江戸最古とされる狛犬です。江戸はじめといわれるタイプです。年号は台座ではなく、胸元に承応三年(1654年)と刻まれており、奉納者などの名前も見えます。また、腹の下が完全にくりぬかれていないのも、江戸はじめの特徴です。

 台座はかなり低いのですが、大きさは中くらいです。くっきりとした豚鼻とずらっと並んだ犬歯が特徴的な独特の顔つき、前脚は直線的ですが力強さも感じられます。阿形の口からは舌が出ています。また、頭頂部が月代(さかやき)のように剃られているようにも見えました。たてがみは阿吽とも同じようにカールしているのですが、前脚に生えている体毛は阿形は巻き毛、吽形は直毛と彫り分けられていました。また、正面から見るとわずかに首が参道のほうに傾いているのがわかります。このように職人の腕とこだわりが随所にうかがえるすばらしい完成度を持った作品です。

その4へ続きます

<基本情報>
目黒不動尊・瀧泉寺
東京都目黒区下目黒3丁目20-26


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<関連サイト>
◆「目黒不動尊」(公式ホームページ)
◆「瀧泉寺」(Wikipedia)
◆「関東名品江戸狛犬十対」(日本参道狛犬研究会ホームページ)

【狛犬アルバム】目黒不動尊 その2(東京都目黒区下目黒)



<設置されている場所>
階段の前
前不動堂の前

<台座の年号>
文久二壬戌年正月(1862年)

<訪問メモ>
その1からの続きです

 仁王門をくぐると、長い階段の前には山犬が対でたたずんでいます。台座が高いのですが、それほど大きくないことや、山犬の表情から威圧感は感じません。この山犬には阿吽の差はありません。全体に丸みを帯びたラインと優しい目、渦をまいた尾が特徴的です。ともに足下に子犬を携えています。親犬の近くで安心しているような、じゃれつくような仕草がとてもかわいらしいです。階段のてすり部分にも一匹の親犬と三匹の子犬が彫られていました。

 階段の左側にある前不動堂にも山犬が一対設置されています。こちらも階段前の山犬像と同じく、尾が渦を巻いていますが、より素朴な雰囲気があります。赤い前掛けを掛けていて、下を向いてうつむき気味です。首や口元に修復された跡が残っていました。

 これらの山犬像はともに柔和な表情で、神域を守護するという役割の狛犬とはやや異なる印象を持ちます(「【狛犬の仲間たち】1. 神使・眷属」参照)。参拝者を優しい表情でそっと包み込み、その幸せを願うような、そんな印象を受けました。

 なお、階段前にある山犬の台座には文久2年(1862年)と刻まれています。一方、前不動堂の山犬には年号は刻まれていません。ところが、「目黒不動尊の山犬(狛犬について私の知っている2、3の事柄)」の研究によると、もともと前不動堂の山犬は今の階段前の山犬の台座に置かれていたのではないかとのことです。詳しくは上記リンクからご覧ください。戦前の絵葉書や写真から台座の謎を探っている素晴らしい調査です。

その3へ続きます

<基本情報>
目黒不動尊・瀧泉寺
東京都目黒区下目黒3丁目20-26


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<関連サイト>
◆「目黒不動尊」(公式ホームページ)
◆「瀧泉寺」(Wikipedia)
◆「目黒不動の「子連れ和犬」」(神使の館)
◆「地主神の和犬「目黒不動・瀧泉寺」(前不動堂前)」(神使の館)

【狛犬アルバム】目黒不動尊 その1(東京都目黒区下目黒)



<設置されている場所>
仁王門の前

<台座の年号>
平成11年12月

<訪問メモ>
 平安時代の創建と伝えられる天台宗の寺院です。不動明王を本尊としており、江戸時代に不動信仰を集めたことから、目黒不動尊といわれるようになったそうです。2009年12月に訪問しました。都内最古とされている石造狛犬(その3)を含め、数多くの狛犬があることから狛犬好きにとっては一度は訪れたい場所のひとつでもあります。あまりに数が多いため、その1、その2その3その4に分けています。

 仁王門前にある狛犬は新しく、台座には「平成11年12月」とありました。漢数字でないところが残念。前脚、後脚の爪や、胴体部分など随所に彫りが甘く、機械的に彫られた感じがわかります。全体としてみると、やや丸みを帯びていて、顔の表情に愛嬌があります。カッと目を見開いている表情も面白く、前脚の肘の下あたりにある体毛や、阿吽で直毛・巻き毛となっているところなども好印象でした。

その2へ続きます

<基本情報>
目黒不動尊・瀧泉寺
東京都目黒区下目黒3丁目20-26


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<関連サイト>
◆「目黒不動尊」(公式ホームページ)
◆「瀧泉寺」(Wikipedia)
◆「目黒不動尊」(実りのとき)

【狛犬アルバム】安養院(東京都品川区西五反田)


 安養院は、正しくは「臥龍山安養院能仁寺」という密教系寺院です。2009年12月に訪問しました。密集した住宅街にある小さな参道を入ると、その左右には不動明王像やお地蔵さんなど、多種多様な石像があります。そして、寺院内にもさまざまな石像があり、北インド・チベット美術館があるという、仏像・石像のカオス状態。ちなみに、歴史は平安時代からと古く、寝釈迦像があることから長寿で苦しむことなくぽっくりと亡くなることができるという信仰を集めているそうです。

<設置されている場所>
山門の前

<製作年>
1832年




 そんな安養院の小さな山門の前に、一対の中国獅子が設置してあります。この獅子は顔も大きく、像も大きいです。阿吽の区別がないところや、首飾りなどが中国風ですね。顔つきは鼻が大きな団子鼻、目玉も飛び出ていてひょうきんな表情ですが、前脚、後脚の爪は鋭く、前脚には何やらうろこのような模様があります。向かって右手(阿形にあたる像)は手に鞠のような玉をもっており、向かって左手(吽形)は子獅子が鞠玉の上に乗っていました。体つきの造形や体毛の彫り込みは幾何学的で、動物的な迫力はありませんが、精緻に作られている印象です。

 なお、「狛犬かがみ」(「参考文献」に記載しています)によると、日本では天保時代にあたる、1832年(清代)に中国で造られた中国獅子を、銀座アスターという中華料理店の社長が昭和63年に奉納したとのこと。作られた年代の古さのわりにはとても綺麗な状態のままです。昔は屋内に設置されていたのでしょうか、それともとてもよい石でできているのでしょうか。

<基本情報>
安養院
東京都品川区西五反田4-12-1


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<関連サイト>
◆「安養院/北インド・チベット美術館」(公式ホームページ)
◆「安養院」(天台宗東京教区の公式ホームページ)

2011年2月13日日曜日

【狛犬アルバム】北沢八幡宮(東京都世田谷区代沢)


 北沢八幡宮は下北沢商店街の南口を真っすぐ進み、茶沢通りに出てしばらく行ったところを左手に曲がるとある神社です。文明年間(1469年〜1487年)に世田谷城主によって創建されたとのことで古い歴史を持っています。2009年12月に訪問しました(写真は2013年7月に再訪した際のものです)。

<設置されている場所>
拝殿の前

<台座の年号>
嘉永五年(1852年)




 拝殿前に一対の狛犬がたたずんでいました。台座には嘉永五年(1852年)とありました。ちなみにこれは、ちなみにペリー来航の1年前なんですね。

 たてがみや尾は優雅な巻き毛で、江戸獅子の特徴がでています。かなりのたらこ唇。ぽってりとした鼻と唇が一体化しており、カールした眉毛も特徴的です。阿形のほうが表情に動きがある感じがします。前脚はがっしりとしていますが、全体的に丸みを帯びた身体つきで、やわらかい印象を受けました。


<基本情報>
北沢八幡神社
東京都世田谷区代沢3丁目25-3


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<関連サイト>
◆「北澤八幡神社」(東京都神社庁のホームページ)
◆「北沢八幡宮」(Wikipedia)

【狛犬アルバム】湯島天神(東京都文京区湯島)


 湯島天神は江戸を代表する天満宮として有名ですが、立派な狛犬がありました。2010年8月に訪問しました。

<設置されている場所>
拝殿の前

<製作年>
不明




 優美な毛並みは江戸獅子の特徴ですが、かなり低い前傾姿勢が特徴的です。阿吽ともに前脚を一本ずつ上げているものの、珠も子獅子もいない。ちょっと不思議な姿勢です。なんというか、豪華絢爛というか、ルーベンスの裸体画のようなバロック的な魅力のある狛犬です。

 台座に彫られた梅のレリーフも見事の一言。ただ、この台座は近年取り替えられたもののようです。

◆「湯島天神の狛犬」(狛犬の杜別館)


<基本情報>
湯島天神
東京都文京区湯島3-30-1


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<関連サイト>
◆「湯島天神公式サイト」(公式ホームページ)
◆「湯島天満宮」(Wikipedia)

【狛犬アルバム】神田明神(東京都千代田区外神田)



<設置されている場所>
拝殿の前
拝殿右側
拝殿左側の摂末社

<製作年>
昭和8年(1933年)
文久2年(1862年)
不明
不明

<訪問メモ>
 2010年8月に訪問。鳥居をくぐり進むと、立派な随身門が見えてきます。ここには色彩鮮やかな獅子鼻があり、境内もかなり広いです。左側ある大きな大黒像が目を引きますが、拝殿の前にはかなり大きな狛犬が鎮座していました。狛犬が大きい割に台座が低いことと、参拝者のほうを向いているためか、存在感も圧倒的です。

 耳は犬のように三角で上に向いており、尾は筆のようにまとまっていて、ピンと立っています。体つきは筋肉質で、胸を張り、前脚もがっしりと台座をつかむようにして立っています。阿形のたてがみは後ろに流れて上向きにカールしているのに対して、吽形のたてがみは内巻きにカールしており、あご髭のようにも見えます。体つきはとても動物的なのですが、目つきが人間のように見えることから、老賢人のようなたたずまいも感じられます。阿形には角があります。台座には昭和8年(1933年)とありました。

 拝殿の右側には千代田区指定有形民俗文化財「石獅子」との看板があり、いわゆる獅子山が置かれていました。説明書きによると、もともとは文久2年(1862年)に納められたが、関東大震災(1923年)によって崩壊し、その後平成2年(1990年)に再建されたとのこと。子獅子のみ新しそうに見えると思ったのですが、親獅子のみが当時のもののようです。下記のサイトによると本来は獅子山も対で存在したのではないかとのこと。気になる方はご覧になってください。

◆「神田明神の不思議」(狛犬について私が知っている2、3の事情)

 本殿左側にもいくつかの摂末社がありました。摂社の小舟町八雲神社前に一対の狛犬がいます。文化6年(1809年)建立、昭和7年再建とありましたが、形からみて江戸後期から明治、大正の狛犬ではないかと思うのですが、どうなのでしょうか。顔は四角ばっていますが、尾の流れなどは江戸狛犬ならではです。

 末社の魚河岸水神社前にも一対ありました。台座には昭和11年(1936年)とありますが、狛犬は明らかに新しいもの。昭和末期から平成にかけての岡崎現代型でしょう。

 実は籠祖神社前に、昭和36年(1961年)製のもう一対の狛犬あるらしいのですが見逃してしまいました……


<基本情報>
神田明神
東京都千代田区外神田2丁目16-2


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<関連サイト>
◆「神田明神」(公式ホームページ)
◆「神田明神」(Wikipedia)
◆「神田明神の不思議」(狛犬について私が知っている2、3の事情)

【狛犬アルバム】宮益御嶽神社(東京都渋谷区渋谷)



<設置されている場所>
拝殿の前

<製作年>
不明

<訪問メモ>
 2010年8月に訪問。JR渋谷駅から近い宮益坂を青山方面に歩いて行く途中、飲食店の建ち並ぶ通りの左手に鳥居があります。鳥居をくぐり、階段を上るとそこはなんとビルの屋上。その神社には、一対のブロンズ製の狼像がありました。

 はじめは犬かと思っていたのですが、長い尾が後足のまわりに流れている様から日本狼であることがわかります。神社のホームページにその由来がかかれていました。延宝年間(1673〜1681年)に作られた狼像の原形は今は損傷が激しくなってしまったため、社務所内に保管しているようです。現在の狼像は、戦後に原形を元に作られたとのことです。

 体つきや顔の表情がとてもリアルです。眼力があり、江戸時代の庶民の狼への信仰が伺えるたたずまいでした。

<基本情報>
宮益御嶽神社
東京都渋谷区渋谷1丁目12-16


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<関連サイト>
◆「宮益御嶽神社」(渋谷宮益ホームページ)

【狛犬アルバム】福岡県護国神社(福岡県福岡市中央区六本松)



<設置されている場所>
二の鳥居前

<台座の年号>
未確認

<訪問メモ>
 2009年12月に訪問。福岡県護国神社は、旧福岡城趾である舞鶴公園の隣、けやき通りの端にあります。

 鳥居の前にあるのは、いわゆる護国系(招魂社系)の籠神社タイプの狛犬。台座も高く、像もとても大きく威圧感があります。太く真っすぐに突っ張った前脚と分厚い胸板が力強いです。阿形のたてがみや尾は巻き毛、耳は小さく立っています。吽形は角があり、たてがみと尾は直毛。たてがみはこぶのような固まりにも見えます。耳はビーグル犬のような伏せ耳で、阿形よりやや大きいように見えます。ともに前足の後ろに毛が流れていました。護国系ではあるのですが、吽形の結ばれた口元を見ると前歯の歯並びが整然としていて、下唇を噛んでいるようにも見えます。この歯の表情は、他の福岡市の狛犬と共通点があるような気がしました。

 台座を確認し忘れたのですが、昭和18年(1943年)に福岡県内の4つの護国神社がここに統合されたとのことで、その年に作られたのかもしれません。

 境内では、きのこの化け物のような、今までに見た中でもっとも大きい石灯籠を発見しました。広大な境内といい、拝殿の左右から建物が扇状に広がっている様といい、護国神社の威圧感を感じました。

 また、どうやら他の門にも狛犬がいるらしいです。次回訪問の際に確認しなければ……

<基本情報>
福岡縣護國神社
福岡県福岡市中央区六本松1-1-1


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<関連サイト>
◆「福岡縣護國神社」(公式ホームページ)
◆「福岡縣護國神社」(Wikipedia)

【狛犬アルバム】表慶館(東京都台東区上野公園)


 石造りの立派な西洋建築の表慶館は、明治42年(1909年)にのちの大正天皇となる嘉仁親王(皇太子)の御成婚を祝うために建てられた日本初の美術館でした。明治末期の西洋建築を代表するネオ・バロック様式の優れた建築として、昭和53年(1978年)には重要文化財に指定されています。2010年2月に訪問しました。

◆「表慶館」(東京国立博物館)

<設置されている場所>
入り口の階段の前

<製作年>
明治42年(1909年)





 この表慶館には一対の西洋風の獅子像(ライオン)がいるのですが、実際のところこれは狛犬ではありません。ただ、これが阿吽の対をなしているのです。

 階段の左右、かなり高い台座から二頭のライオンが見下ろしています。青銅製でしょうか、少し青みがかった色をしています。サイズもかなり大きめ、前足の爪などは力強さを感じます。ただ、体つきは全体的に丸みを帯びていて、特に瞳に人間のような優しさがあり、口元にも牙などはなく、柔和な印象です。阿形、吽形ともに体の部分は同じつくりのようで、狛犬に見られる阿形が巻き髪で吽形が直毛といった特徴もありません。よく見ないと、これが阿吽になっていることには気づかないですね。

 この獅子像は、近代彫刻の先駆者といわれる大熊氏広(1856年〜1934年)という彫刻家による作品であることが知られています。当時の最先端の西洋建築の中に、しれっと日本的な要素が含まれているというのも面白いですね。この点が非常に興味深かったので、狛犬アルバムに掲載しています。

 なお、大熊氏広については、以下のサイトに詳しいので、興味を持った方はご覧ください。

◆「近代彫刻の先駆者 大熊氏広」(鳩ヶ谷市立郷土資料館)
◆「大熊氏広の銅像をめぐる旅」(ハト豆ねっと)
◆「近代彫刻の先駆者・大熊氏広」(銅像マニアック話)

<基本情報>
東京国立博物館 表慶館
東京都台東区上野公園13-9


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<関連サイト>
◆「表慶館」(東京国立博物館)
◆「国立博物館表慶館」(東京建築遺産)
◆「東京国立博物館 表慶館」(上野恩賜公園探訪)
◆「東京国立博物館 表慶館の項」(Wikipedia)
◆「近代彫刻の先駆者 大熊氏広」(鳩ヶ谷市立郷土資料館)
◆「大熊氏広の銅像をめぐる旅」(ハト豆ねっと)
◆「近代彫刻の先駆者・大熊氏広」(銅像マニアック話)

2011年2月6日日曜日

【狛犬アルバム】都道府県から探す

 このページからは、狛犬を都道府県別に探すことができます。

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