2011年2月23日水曜日

【狛犬アルバム】目黒不動尊 その2(東京都目黒区下目黒)



<設置されている場所>
階段の前
前不動堂の前

<台座の年号>
文久二壬戌年正月(1862年)

<訪問メモ>
その1からの続きです

 仁王門をくぐると、長い階段の前には山犬が対でたたずんでいます。台座が高いのですが、それほど大きくないことや、山犬の表情から威圧感は感じません。この山犬には阿吽の差はありません。全体に丸みを帯びたラインと優しい目、渦をまいた尾が特徴的です。ともに足下に子犬を携えています。親犬の近くで安心しているような、じゃれつくような仕草がとてもかわいらしいです。階段のてすり部分にも一匹の親犬と三匹の子犬が彫られていました。

 階段の左側にある前不動堂にも山犬が一対設置されています。こちらも階段前の山犬像と同じく、尾が渦を巻いていますが、より素朴な雰囲気があります。赤い前掛けを掛けていて、下を向いてうつむき気味です。首や口元に修復された跡が残っていました。

 これらの山犬像はともに柔和な表情で、神域を守護するという役割の狛犬とはやや異なる印象を持ちます(「【狛犬の仲間たち】1. 神使・眷属」参照)。参拝者を優しい表情でそっと包み込み、その幸せを願うような、そんな印象を受けました。

 なお、階段前にある山犬の台座には文久2年(1862年)と刻まれています。一方、前不動堂の山犬には年号は刻まれていません。ところが、「目黒不動尊の山犬(狛犬について私の知っている2、3の事柄)」の研究によると、もともと前不動堂の山犬は今の階段前の山犬の台座に置かれていたのではないかとのことです。詳しくは上記リンクからご覧ください。戦前の絵葉書や写真から台座の謎を探っている素晴らしい調査です。

その3へ続きます

<基本情報>
目黒不動尊・瀧泉寺
東京都目黒区下目黒3丁目20-26


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<関連サイト>
◆「目黒不動尊」(公式ホームページ)
◆「瀧泉寺」(Wikipedia)
◆「目黒不動の「子連れ和犬」」(神使の館)
◆「地主神の和犬「目黒不動・瀧泉寺」(前不動堂前)」(神使の館)