2011年2月13日日曜日

【狛犬アルバム】表慶館(東京都台東区上野公園)


 石造りの立派な西洋建築の表慶館は、明治42年(1909年)にのちの大正天皇となる嘉仁親王(皇太子)の御成婚を祝うために建てられた日本初の美術館でした。明治末期の西洋建築を代表するネオ・バロック様式の優れた建築として、昭和53年(1978年)には重要文化財に指定されています。2010年2月に訪問しました。

◆「表慶館」(東京国立博物館)

<設置されている場所>
入り口の階段の前

<製作年>
明治42年(1909年)





 この表慶館には一対の西洋風の獅子像(ライオン)がいるのですが、実際のところこれは狛犬ではありません。ただ、これが阿吽の対をなしているのです。

 階段の左右、かなり高い台座から二頭のライオンが見下ろしています。青銅製でしょうか、少し青みがかった色をしています。サイズもかなり大きめ、前足の爪などは力強さを感じます。ただ、体つきは全体的に丸みを帯びていて、特に瞳に人間のような優しさがあり、口元にも牙などはなく、柔和な印象です。阿形、吽形ともに体の部分は同じつくりのようで、狛犬に見られる阿形が巻き髪で吽形が直毛といった特徴もありません。よく見ないと、これが阿吽になっていることには気づかないですね。

 この獅子像は、近代彫刻の先駆者といわれる大熊氏広(1856年〜1934年)という彫刻家による作品であることが知られています。当時の最先端の西洋建築の中に、しれっと日本的な要素が含まれているというのも面白いですね。この点が非常に興味深かったので、狛犬アルバムに掲載しています。

 なお、大熊氏広については、以下のサイトに詳しいので、興味を持った方はご覧ください。

◆「近代彫刻の先駆者 大熊氏広」(鳩ヶ谷市立郷土資料館)
◆「大熊氏広の銅像をめぐる旅」(ハト豆ねっと)
◆「近代彫刻の先駆者・大熊氏広」(銅像マニアック話)

<基本情報>
東京国立博物館 表慶館
東京都台東区上野公園13-9


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<関連サイト>
◆「表慶館」(東京国立博物館)
◆「国立博物館表慶館」(東京建築遺産)
◆「東京国立博物館 表慶館」(上野恩賜公園探訪)
◆「東京国立博物館 表慶館の項」(Wikipedia)
◆「近代彫刻の先駆者 大熊氏広」(鳩ヶ谷市立郷土資料館)
◆「大熊氏広の銅像をめぐる旅」(ハト豆ねっと)
◆「近代彫刻の先駆者・大熊氏広」(銅像マニアック話)