2012年6月3日日曜日

【狛犬アルバム】武田神社(山梨県甲府市古府中町)


武田神社は武田信玄を祀る神社で躑躅ヶ崎館という武田氏三代にわたる館の跡地にあります。大正8年に建てられた比較的新しい神社です。

<設置されている場所>
大鳥居の前

<台座の年号>
昭和十三年(1938年)






お堀に掛けられた橋を渡り、階段を登ると大きな鳥居が見えてきます。その手前に構える狛犬はとても迫力がありました。階段を上りきったところに位置する狛犬は、参拝者が見上げるようになるため威圧感が増します。また、台座も数段組まれており、縦の視線を強調し、上へ上へと視点を上げて行く効果があります。ただし、写真を撮ろうとすると下から見上げるようになるため、顔の表情が見づらくなるのが欠点なのですが……

全体的に筋肉質で、特に胸の筋肉の張り具合はすごい。ただ、ほかの岡崎古代型の狛犬と趣を異にするのはあごひげの巻き毛や顔の表情です。いわゆる弥彦神社型といえるかもしれません。

武田神社はその成り立ちから神社というよりまさに城郭の作りでした。ほかの神社とは異なった趣が感じられました。

<基本情報>
武田神社
山梨県甲府市古府中町2611


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<関連サイト>
◆「甲斐 武田神社」(公式ホームページ)
◆「武田神社」(Wikipedia)
◆「甲斐 武田神社 の狛犬」(狛犬の社)

【狛犬アルバム】山梨県護国神社(山梨県甲府市岩窪町)


 武田神社へ訪問する前に、その近くにある山梨県護国神社へ立ち寄りました。当日はのんびりとした雰囲気の骨董市が行われていました。2012年5月に訪問しました。


<設置されている場所>
大鳥居の前

<製作年>
昭和三十三年(1958年)





 大鳥居の手前にいた一対の狛犬はいわゆる岡崎現代型の狛犬でした。ささっと写真をとって、拝殿へ向かいます。


<設置されている場所>
拝殿の前

<製作年>
明治四十五年(1912年)





 拝殿前の狛犬は小ぶりの江戸狛犬でした。たてがみや尾の流れが見事です。顔はひらぺったいかえる型。阿吽の左はほとんどありませんでした。台座には明治四十五年とあったのですが、これは彫っている間に元号が大正に変わってしまったんですね。


<基本情報>
山梨県護国神社
山梨県甲府市岩窪町608


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<関連サイト>
◆「山梨縣護國神社」(Wikipedia)
◆「護国神社」(神社探訪・狛犬見聞録)
◆「2003年版 甲斐路に江戸狛犬を訊ねる」(狛犬ネット)
頭でっかちで、手足が貧弱。尻尾はくるんと巻いていて、真ん中は穴……というのがこのへんの狛犬のお約束になっているようです。

【狛犬アルバム】満蔵院(山梨県甲府市武田)


甲府駅から北へ、武田神社へと続く武田通り沿いにある満蔵院は、かつて武田信玄が毘沙門堂を建立した真言宗の寺院です。2012年5月に訪問しました。

<設置されている場所>
石門を入って左手

<製作年>
不明





石造りの門を入って、左手を見ると、小さな社があり、その前に一対の古びた狛犬がいました。かなり風化しており、顔の表情はほとんどわからなくくらいでしたが、小ぶりでピンと背筋を伸ばしたスタイルと、(想像するに)素朴な顔つきは、江戸期のものではないかと思われます。以下のウェブサイトに甲府市内最古との記載がありましたが、これは住職の方曰く、とのこと。はっきりしたことはわかりませんでした。


<基本情報>
満蔵院
山梨県甲府市武田2-10-4


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<関連サイト>
◆「 [ 11 ] 満蔵院の狛犬」(こうふをたのしもう 50+1 の宝物)
◆「信玄の信仰」(武田信玄の館)「毘沙門天への信仰」の項
毘沙門天信仰は……武田信玄もまた軍神としてあつい信仰を寄せ、……甲府の満蔵院に毘沙門堂を建て、国内真言宗僧徒の祈願所にした。

【狛犬アルバム】村社熊野神社(山梨県市川三郷町大塚)

日本最古といわれる石造神殿狛犬を見るために、2012年5月に訪問しました。

<設置されている場所>
階段の上
拝殿の前

<製作年>
昭和四年(1929年)
応永十二年(1405年)



 甲府からJR身延線にのって約30分の甲斐上野駅からタクシーを呼んで行きました。日本最古の狛犬を見に行くんですといったら、研究してらっしゃるんですかと聞かれて、少し照れてしまいました。日本最古の狛犬があることはタクシーの運転手さんもご存知のようで、神社についてちょっと待っていてくださいと言うと、わかりにくいので本殿まで案内してくれることになりました。ただし、本殿との間にある柵が邪魔でなかなかうまく撮影できませんでした。車で行く人は三脚を持って行くことをお勧めします。

 この狛犬は柵に覆われていました。素朴なはじめ狛犬の造りで、ひょうきんな顔つきをしています。たてがみや尾の彫り方は直線的というか幾何学的な模様で、寸胴のような胴体も特徴的です。それでも腹はくりぬかれていて(はじめ狛犬には腹がくりぬかれていない者も多い)、(私は確認できませんでしたが)ここに応永十二年と彫ってあるそうです。大きさは意外に大きく80センチほどはあったように見えました。

 かなりご高齢のタクシーの運転手さんによると、昔はそれぞれの村にあった熊野神社がここに合祀されたとのこと。今は市川三郷町というこの町も複数の村が合併してできた町なのだそうです。

 ちなみに随神門をくぐって階段を上った上にも一対の狛犬がいました。こちらは昭和四年のもの。前脚の爪など若干彫りが甘いようですが、顔つきは悪くありません。





 丘の上にあるこの神社からは眺めもよく、1対の狛犬を見るために甲府から往復で2時間、電車とタクシーで5000円ほどかかりましたが、なかなかよい想い出になりました。

<基本情報>
村社熊野神社
山梨県市川三郷町大塚4232



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<関連サイト>
◆「三珠町のはじめ狛犬(応永12年!)」(狛犬ネット)
◆「山梨県西八代郡市川三郷町 其の一」(狛犬探検隊)
◆「古い狛犬大好き! ( 山梨 熊野神社 )」(サンクチュアリ)
◆「日本最古?の【狛犬】 <山梨県市川三郷町>」(大人の遠足 ・お山歩日記)