2010年2月14日日曜日

【狛犬豆知識】1. 狛犬の置かれた場所

■1. 狛犬の置かれた場所
 奈良時代に日本に狛犬が伝わった際には、狛犬は宮中で御簾や几帳の前に置かれた金属製の調度品でした(→「【狛犬の歴史】4. 奈良時代の狛犬」参照)。やがて、狛犬は宮中から出て、神社や寺院の本殿内に置かれるようになり、木製の中型のものへと変わっていきます。これを「神殿狛犬」と呼んでいます。さらに、狛犬は屋内を飛び出して本殿の御扉や拝殿の前、さらに拝殿の縁側にも置かれるようになり、大型化していきました。

 その後、神社に随身門が設けられるようになると、随身門に狛犬を置くようになり、さらに随身門がない場合でも本殿の前に随身が置かれるようになって、そこにも狛犬が置かれるようになっていきました。また、本殿から出た狛犬は、拝殿の前、参道の途中、さらに境内からも出て神門の前にも置かれるようになっていきます。この場合、狛犬は殿外に設置されるため、風雨に強い石造りの狛犬が必要とされるようになりました。このような動きは室町時代後期に始まり、江戸時代初期に確立したといわれています。これを「参道狛犬」と呼んでいます。