2010年2月14日日曜日

【狛犬の歴史】6. 鎌倉時代の狛犬

■6. 鎌倉時代の狛犬
 鎌倉時代の狛犬は写実的で今にも飛びかかろうとしているような精悍さがあります。日本独自の獅子・狛犬という霊獣としての様式が完成したことが伺えます。玉眼技法という手法によって、瞳とそれによる表情をよりリアルに見せることができたようです。この頃は、ヒノキの寄木造りで、全身は漆箔で仕上げられていました。鎌倉時代の仏師たちはそれぞれに独自の作風を作り上げ、それぞれの個性が尊重されていたようです。そのため、同じ時代の狛犬でも仏師の個性によってさまざまな印象を与えてくれます。

 日本最古の石造狛犬といわれる奈良・東大寺南大門にある狛犬が作られたのはこの時代です(1196年)。宋の鋳物師であった陳和卿(ちんなけい)が、宋から輸入した石材で作りました。口は両方とも阿形であり、瓔珞(ようらく)と呼ばれる胸の首飾りがあるなど、当時の中国・宋の影響が色濃く出ているため、正確には中国獅子の様式だと言えます。しかし、この狛犬は日本最古の石造狛犬という由縁から、明治以降の狛犬の様式に大きな影響を与えることとなりました。