■11. 明治・大正・昭和(戦前)の狛犬
幕末には海運の発達などもあり、全国各地で盛んに狛犬が奉納されていましたが、明治維新を迎えると、それまでの神仏習合が否定され、廃仏毀釈運動が起きた混乱によって、狛犬の奉納は一時的に途絶えることになりました。しかし、明治二十年頃から次第に狛犬作りが復興し、日清・日露戦争に勝利した明治時代後期には狛犬奉納は第二の円熟期を迎えることになります。また、昭和十五年は皇紀二六〇〇年となり、全国の神社に数多くの狛犬が奉納されました。しかしその後、政情が悪くなると狛犬の奉納は減少し、またブロンズなど金属製の狛犬の中には戦時の金属供出で持ち出されたものも少なくありませんでした。