宇美八幡宮は、安産の神様として知られる神社です。「宇美」の地名も「産み」に由来しているとのこと。私も幼い頃、七五三で来た覚えがあるのですが、今回は姪っ子のお宮参りのために訪れました。2013年9月に訪問しました。
<設置されている場所>
一の鳥居の後ろ
<台座の年号>
昭和二年(1927年)
大きな鳥居の先の少し階段になった場所に狛犬がいました。台座は高くわれわれを見下ろしています。大きな胸を張った護国系狛犬ですが、顔が小さく、平ぺったいのが特徴的です。たてがみや尻尾はそれほどのボリュームはありませんが、たてがみの跳ね気味の毛先の彫りが繊細で素晴らしいです。また、阿吽ともに首に瓔珞(ようらく)といわれる首飾りをかけていました。全体的にはシンプルな作りなのですが、ひとつひとつのパーツが細やかで洗練された狛犬です。
台座には昭和二年(1927年)とありましたが、材質も違うことから製作された年とは異なるかもしれません。
<設置されている場所>
神門の前
<台座の年号>
昭和三十七年(1962年)
この狛犬は一の鳥居の前にあった狛犬とほぼ同じデザインです。異なる点は体つきがやや太いこと、首をより参道側に傾けていること、たてがみや尻尾がやや大きいこと、瓔珞がないことなどです。眉毛や細かな歯など繊細な彫りが素晴らしいです。大きさはこちらのほうが小さく作られています。大きな垂れ耳なのですが、目玉が彫られていることもあってこちらを見つめられているような視線を感じます。
こちらも台座には昭和三十七年(1962年)とありましたが、台座は材質も異なるため実際に造られた時期は一の鳥居の後ろの狛犬と同じ時期なのではないかと推測されます。
<設置されている場所>
神門の前
<製作年>
不明
そしてその後ろには岡崎現代型の狛犬がいました。こんな近距離に面白みのない狛犬を置かなくてもいいのに、という気持ちになります。
<設置されている場所>
拝殿の前
<製作年>
不明
拝殿の前にはおそらくこの神社でもっとも古いと思われる狛犬がいました。全体的にずんぐりとしていて、平たい顔に大きな垂れ耳です。たてがみや尻尾はシンプルです。吽形には角があり、京都でよく見られる型のようにも見えます。
<設置されている場所>
聖母宮の前
<台座の年号>
昭和十三年(1938年)
本殿右奥の聖母宮の前には筋骨隆々とした、戦闘的な顔つきの狛犬がいました。福岡市の住吉神社や福津市の宮地嶽神社とほぼ同じ型のものです。石材の材質が同じようですし、もしかすると同じ石工の作品なのかもしれません。
台座には「福岡市 石彫刻 藤村三郎」とあったので、調べてみました。すると光雲神社の狛犬と同じ作者であることがわかりました。獰猛な狛犬を彫らせたらピカ一ですね。
◆「九州編」(狛犬のキモチ)
<基本情報>
宇美八幡宮
福岡県糟屋郡宇美町宇美1-1-1
大きな地図で見る
<関連サイト>
◆「宇美八幡宮公式ホームページ」(公式ホームページ)
◆「宇美八幡宮」(Wikipedia) - 神功皇后が三韓征伐からの帰途に応神天皇を産んだ地に、敏達天皇3年に応神天皇を祀ったのに始まる。「宇美」の地名も「産み」に由来するものである。
◆「宇美八幡宮」(神社探訪・狛犬見聞録)