2011年2月25日金曜日
2011年2月23日水曜日
【狛犬アルバム】安養院(東京都品川区西五反田)
安養院は、正しくは「臥龍山安養院能仁寺」という密教系寺院です。2009年12月に訪問しました。密集した住宅街にある小さな参道を入ると、その左右には不動明王像やお地蔵さんなど、多種多様な石像があります。そして、寺院内にもさまざまな石像があり、北インド・チベット美術館があるという、仏像・石像のカオス状態。ちなみに、歴史は平安時代からと古く、寝釈迦像があることから長寿で苦しむことなくぽっくりと亡くなることができるという信仰を集めているそうです。
<設置されている場所>
山門の前
<製作年>
1832年
そんな安養院の小さな山門の前に、一対の中国獅子が設置してあります。この獅子は顔も大きく、像も大きいです。阿吽の区別がないところや、首飾りなどが中国風ですね。顔つきは鼻が大きな団子鼻、目玉も飛び出ていてひょうきんな表情ですが、前脚、後脚の爪は鋭く、前脚には何やらうろこのような模様があります。向かって右手(阿形にあたる像)は手に鞠のような玉をもっており、向かって左手(吽形)は子獅子が鞠玉の上に乗っていました。体つきの造形や体毛の彫り込みは幾何学的で、動物的な迫力はありませんが、精緻に作られている印象です。
なお、「狛犬かがみ」(「参考文献」に記載しています)によると、日本では天保時代にあたる、1832年(清代)に中国で造られた中国獅子を、銀座アスターという中華料理店の社長が昭和63年に奉納したとのこと。作られた年代の古さのわりにはとても綺麗な状態のままです。昔は屋内に設置されていたのでしょうか、それともとてもよい石でできているのでしょうか。
<基本情報>
安養院
東京都品川区西五反田4-12-1
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<関連サイト>
◆「安養院/北インド・チベット美術館」(公式ホームページ)
◆「安養院」(天台宗東京教区の公式ホームページ)
2011年2月13日日曜日
【狛犬アルバム】北沢八幡宮(東京都世田谷区代沢)
北沢八幡宮は下北沢商店街の南口を真っすぐ進み、茶沢通りに出てしばらく行ったところを左手に曲がるとある神社です。文明年間(1469年〜1487年)に世田谷城主によって創建されたとのことで古い歴史を持っています。2009年12月に訪問しました(写真は2013年7月に再訪した際のものです)。
<設置されている場所>
拝殿の前
<台座の年号>
嘉永五年(1852年)
拝殿前に一対の狛犬がたたずんでいました。台座には嘉永五年(1852年)とありました。ちなみにこれは、ちなみにペリー来航の1年前なんですね。
たてがみや尾は優雅な巻き毛で、江戸獅子の特徴がでています。かなりのたらこ唇。ぽってりとした鼻と唇が一体化しており、カールした眉毛も特徴的です。阿形のほうが表情に動きがある感じがします。前脚はがっしりとしていますが、全体的に丸みを帯びた身体つきで、やわらかい印象を受けました。
<基本情報>
北沢八幡神社
東京都世田谷区代沢3丁目25-3
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<関連サイト>
◆「北澤八幡神社」(東京都神社庁のホームページ)
◆「北沢八幡宮」(Wikipedia)
【狛犬アルバム】湯島天神(東京都文京区湯島)
湯島天神は江戸を代表する天満宮として有名ですが、立派な狛犬がありました。2010年8月に訪問しました。
<設置されている場所>
拝殿の前
<製作年>
不明
優美な毛並みは江戸獅子の特徴ですが、かなり低い前傾姿勢が特徴的です。阿吽ともに前脚を一本ずつ上げているものの、珠も子獅子もいない。ちょっと不思議な姿勢です。なんというか、豪華絢爛というか、ルーベンスの裸体画のようなバロック的な魅力のある狛犬です。
台座に彫られた梅のレリーフも見事の一言。ただ、この台座は近年取り替えられたもののようです。
◆「湯島天神の狛犬」(狛犬の杜別館)
<基本情報>
湯島天神
東京都文京区湯島3-30-1
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<関連サイト>
◆「湯島天神公式サイト」(公式ホームページ)
◆「湯島天満宮」(Wikipedia)
【狛犬アルバム】表慶館(東京都台東区上野公園)
石造りの立派な西洋建築の表慶館は、明治42年(1909年)にのちの大正天皇となる嘉仁親王(皇太子)の御成婚を祝うために建てられた日本初の美術館でした。明治末期の西洋建築を代表するネオ・バロック様式の優れた建築として、昭和53年(1978年)には重要文化財に指定されています。2010年2月に訪問しました。
◆「表慶館」(東京国立博物館)
<設置されている場所>
入り口の階段の前
<製作年>
明治42年(1909年)
この表慶館には一対の西洋風の獅子像(ライオン)がいるのですが、実際のところこれは狛犬ではありません。ただ、これが阿吽の対をなしているのです。
階段の左右、かなり高い台座から二頭のライオンが見下ろしています。青銅製でしょうか、少し青みがかった色をしています。サイズもかなり大きめ、前足の爪などは力強さを感じます。ただ、体つきは全体的に丸みを帯びていて、特に瞳に人間のような優しさがあり、口元にも牙などはなく、柔和な印象です。阿形、吽形ともに体の部分は同じつくりのようで、狛犬に見られる阿形が巻き髪で吽形が直毛といった特徴もありません。よく見ないと、これが阿吽になっていることには気づかないですね。
この獅子像は、近代彫刻の先駆者といわれる大熊氏広(1856年〜1934年)という彫刻家による作品であることが知られています。当時の最先端の西洋建築の中に、しれっと日本的な要素が含まれているというのも面白いですね。この点が非常に興味深かったので、狛犬アルバムに掲載しています。
なお、大熊氏広については、以下のサイトに詳しいので、興味を持った方はご覧ください。
◆「近代彫刻の先駆者 大熊氏広」(鳩ヶ谷市立郷土資料館)
◆「大熊氏広の銅像をめぐる旅」(ハト豆ねっと)
◆「近代彫刻の先駆者・大熊氏広」(銅像マニアック話)
<基本情報>
東京国立博物館 表慶館
東京都台東区上野公園13-9
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<関連サイト>
◆「表慶館」(東京国立博物館)
◆「国立博物館表慶館」(東京建築遺産)
◆「東京国立博物館 表慶館」(上野恩賜公園探訪)
◆「東京国立博物館 表慶館の項」(Wikipedia)
◆「近代彫刻の先駆者 大熊氏広」(鳩ヶ谷市立郷土資料館)
◆「大熊氏広の銅像をめぐる旅」(ハト豆ねっと)
◆「近代彫刻の先駆者・大熊氏広」(銅像マニアック話)
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