2013年8月18日日曜日

【狛犬アルバム】御嶽神社(東京都大田区北嶺町)


 御嶽神社(おんたけじんじゃ)は東急池上線の御嶽山(おんたけさん)駅の近くにある神社です。2013年8月に訪問しました。

<設置されている場所>
参道の途中

<台座の年号>
慶応三年(1867年)




 参道の途中に比較的大きな狛犬が一対いました。台座の周りには木の柵があり、狛犬に触れられないようになっていました。特に阿形の剥落が進んでいるためなのでしょう。首が長く、前脚をぴんと伸ばした蹲踞の姿勢でとてもよい姿勢です。

 大きく張り出した目に伏せ耳で、顔つきは横長です。阿形の口には小さな臼歯がびっしりと彫られていました。また、卍のような渦巻きが額や胸など身体中にありました。ソフトクリームのような尻尾は大きく、渦を巻きながら立ち上がっています。眉間の眉毛も渦を巻き、先がきゅっと捻じられていました。


<設置されている場所>
拝殿の前

<台座の年号>
不明




 拝殿の前には、小ぶりな山犬(狼)の狛犬がいました。脇腹に三本のあばら骨と思われる線が彫られており、丸く太い尻尾が横に垂れています。かなり古いもののようで、欠けてる箇所も多く、ともに右耳がなく、首のあたりにも修復の痕跡がありました。

 阿吽にはなっておらず、ともに狐像のように巻物を口にくわえています。面白いことに、向かって右側の頭の上には宝珠らしき出っ張りがありました。

 製作された時期は分かりませんでしたが、下記のホームページによると、大きな社殿にした天保二年(1831年)の頃に奉納されたのではないかと推測されるようです。

◆「神使狼神社 大田区北嶺町御嶽神社 1」(定年、これからの人生楽しみ探しの旅) - 銘文を探すことが出来なかった。拝殿の前にあることから、大きな社殿にした時、同時に建立したと考えられる。


<設置されている場所>
御嶽神社境内にある大鳥神社

<台座の年号>
天保年間(と推定)




 大きな拝殿の向かって右側にある小さな祠が大鳥神社で、この前にずんぐりむっくりとした一対の狛犬がいました。阿吽にはなっておらず、ともに阿形です。低い台座から平行に並んでこちらのほうを見つめています。首を内側に傾けていることから、以前は向かい合うように置かれていて、かつ左右が逆に置かれていたのではないかと推測したのですが、実は小さな目玉が彫られており、目玉は上のほうを向いいます。すると元から低い台座でこの配置だったのか、、、と謎が深まりました。

 身体中に丸く浮き出た渦巻きのような模様が彫られています。たてがみは大仏像の螺髪のような巻き毛で、あご髭や眉毛もくるくると渦を巻いています。向かって右側の狛犬の鼻の下には渦巻きのひげがあって、愛嬌があります。向かって右側の狛犬には角のような、左側の狛犬には宝珠がありました。また足下を見ると、とても鋭い四本の爪が台座をがっしりと掴んでいました。

 台座に奉納された年号が彫られていたのですが、「天」の後が剥落して読めませんでした。しかし神社の歴史を見ると、天保年間に奉納されたと見るのが妥当と思われます。

 御嶽神社は駅の近くの商店街の近くにあるわりに、境内はとても広くゆったりとした作りなのが印象的でした。拝殿や本殿の木彫りの装飾はとても立派で、区指定文化財にも指定されているとのことです。苔むした手水舎も古くて趣きがあって素敵でした。

◆「御嶽神社と子どもの天国『東調布公園』」(大田ナビ 散歩日和) - 中に入ると山岳信仰の神社らしく愛きょうのある顔つきの㈪二匹の山犬(日本オオカミ)が社殿を守っています。さらに後ろに回りこむと区指定文化財に指定された1831年創建といわれる本殿壁画の彫刻を見ることができます。


<基本情報>
御嶽神社
東京都大田区北嶺町37-20


大きな地図で見る


<関連サイト>
◆「御嶽神社」(公式ホームページ)
◆「御嶽神社」(Wikipedia)
◆「御嶽神社に合祀された大鳥神社」(大田区の狛犬を訪ねて)
◆「御嶽神社(大田区北嶺町)前編後編」(杜を訪ねて)
◆「御嶽神社〜東京都大田区」(神の息吹をいただく場所)
◆「御嶽神社」(東京こまっぷ)