2013年10月6日日曜日

【狛犬アルバム】宮地嶽神社(福岡県柳川市隅町)


 柳川の狛犬を巡る旅の最後は、三柱神社の隣にあった宮地嶽神社です。この神社では三対の狛犬に出会えました。2013年9月に訪問しました。

<設置されている場所>
参道の太鼓橋の前

<製作年>
不明




 参道の途中には、妙に四角い狛犬がいました。はじめは苔で緑になった石かと思っていたのですが、よくよくみると一対の狛犬でした。阿形は柱のようなものの上に前脚を置き、身をせりあげていますが、四角い石の原型がそのままうかがえます。逆に吽形は後脚を上げる構えの態勢をしていました。

 狛犬は四角い石を彫って形作るものですが、それをいかに石から切り出したという感じを与えずに、生き生きとした躍動感を与えるかが石工の腕の見せ所といえると思っています。それなのにこの狛犬は四角い石の角を落として、狛犬に仕立てたという感じがはっきりと見て取れてしまいます。技術的には稚拙と言わざるをえないのですが、それでもじっと見ていると、それはそれで面白いと思える味がありました。妙に四角い狛犬の顔つきはひょうきんにも感じられます。この後、本殿の裏に狛犬を見つけたのですが、阿形の顔の表情がよく似ていました。本殿の裏の狛犬(明治十三年のもの)をモデルに造られたのかもしれません。

<設置されている場所>
拝殿の前

<台座の年号>
<製作年>
昭和二年(1927年)




 拝殿の前には大きめのサイズの狛犬がいました。阿形には口の中に玉があり、ころころと動くように彫られています。昭和二年と比較的新し目のものです。シンプルな尾立て狛犬でした。


<設置されている場所>
本殿の裏

<台座の年号>
明治十三年(1880年)




 この狛犬にははじめ狛犬のような素朴な雰囲気がありました。吽形の団子鼻などは石膏のシーサーのような味わいもあります。明治十三年(1880年)と古いためか、残念ながら阿形の顔がかなり崩れてしまっていました。阿吽を比べると、阿形の顔のサイズがかなり大きくなっています。大きな顔に短い手足というアンバランスがいい味を出しています。とても愛嬌のある狛犬でした。

 柳川で出会った狛犬は大きな垂れ耳のものが多く、どれも愛嬌のある顔つきをしていました。柳川近郊で最も古いものは三柱神社のもので、その後は明治になってほかの神社でも狛犬が奉納されるようになったのだと思われます。


<基本情報>
宮地嶽神社
福岡県柳川市隅町22


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<関連サイト>
◆「宮地嶽神社」(神社探訪・狛犬見聞録)