2013年5月25日土曜日

【狛犬アルバム】宇治神社(京都府宇治市宇治山田)


 宇治と言えば平等院鳳凰堂が有名ですが、素敵な狛犬にもたくさん出会うこともできました。宇治川に架かる朝霧橋を渡ると、向かいに大きな鳥居が見えてきます。ここが宇治神社です。2013年5月に訪問しました。

<設置されている場所>
二の鳥居前

<製作年>
大正六年(1917年)




 鳥居の脇から見下ろしているこの狛犬は立派な作りで、迫力満点です。阿吽の別はほとんどありませんが、吽形に角があるところなどは浪速型の伝統的なデザインとなっています。優雅に流れるたてがみ、あご髭、眉はカールしており、やや横長ですが、迫力のあるやや目元の上がったギョロ目、口周りは肉付きがよく犬歯があり、耳は伏せ耳もしくは横耳、姿勢は蹲踞の姿勢で、手足はそろっていて、尾は渦を巻き立ち上がっているというこのパターンは、京都でよく見かけるように思います。京風洗練狛犬でも名付けてもよいかもしれません。


<設置されている場所>
一の鳥居の手前、社務所の前

<台座の年号>
<製作年>
大正六年(1917年)




 これはまさに東大寺南大門型の狛犬です。ただしサイズはそれほど大きくなく高さは70、80センチといったところでしょうか。それにしても見事な造りです。首飾りを見てもとても丁寧に彫られていることがわかります。東大寺南大門のものと比べると、前脚がよりがっちりとしており、首や顔はやや小さく、より狛犬のお作法に近づいたデザインになっています。その分、より筋肉の動きが協調され、より動物的な表現になっています。狛犬の型としてひとつの完成形といえるのではないでしょうか。

 実は、以前これと同じようなものを大阪の「土佐稲荷神社」でも見たことがありました。このタイプのものはあまり見ないので見つけるととても嬉しいですね。


<設置されている場所>
拝殿の前

<製作年>
不明




 拝殿の前にはかなり大きな団子鼻の浪速狛犬がありました。上記2つの狛犬がかっこいい系だったので、その可愛らしさが引き立ちますね。

 実はここ宇治神社には、昭和六十三年(1988年)まで鎌倉時代の木造狛犬が置かれていたとのこと。長年に渡る痛みが激しく、現在は宇治市歴史資料館で保管されているようです。今度訪ねる機会があれば、ぜひお目にかかりたいものです。

◆「木造狛犬吽形(宇治神社 宇治市)」(京都府ホームページ)


<基本情報>
宇治神社
京都府宇治市宇治山田1


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<関連サイト>
◆「宇治神社」(Wikipedia)
◆「宇治神社」(源氏ろまん 京都宇治ウェブガイド)
◆「狛犬分類学 6 護国(ごこく)」(狛犬ネット) - 典型的な東大寺南大門型の護国。両方とも口を開いている「阿-阿」型である点や、胸にベルト飾りをあしらっているところは中国獅子の様式そのもの。