2013年6月22日土曜日

【狛犬アルバム】蒲田八幡神社(東京都大田区蒲田)


 蒲田八幡神社は、京急蒲田駅の近く、商店街の裏手にある神社です。2013年6月に訪問しました。

<設置されている場所>
拝殿の前

<台座の年号>
昭和三十六年(1961年)




 近代的で立派な拝殿の前には大きくどっしりとした狛犬がいました。体つきは大宝神社型なのですが、大きくインパクトの強烈な顔が特徴的です。顔つきは鬼のようで、どことなく藤子不二雄Aの笑ゥせぇるすまんに出てくる喪黒福造に似ているような気がします。眉毛がしっかりと彫られており、それが恐ろしげに見せているのかもしれません。また、頭頂部にほとんど毛がなく、つるんとしているように見えます。阿形は巻き髪、吽形は直毛と彫り分けられており、吽形の頭には前後に分かれた角がありました。


<設置されている場所>
末社天祖神社の前

<台座の年号>
明治十一年(1878年)




 末社の天祖神社には立派な江戸獅子がいました。石の色は黒に近く、重厚感があります。このタイプにしては珍しく、阿吽ではなく、阿阿になっていました。見れば見るほど丁寧に作られた立派な狛犬です。特に尻尾の彫りが秀逸で、阿形は平らに台座にかかり、吽形はふんわりと台座にかかるように彫り分けられています。

 また、江戸獅子の子獅子は摩耗してしまっているものも多いのですが、この子獅子は非常に状態がよく、顔の表情もからだつきも綺麗な状態です。特に子獅子の尻尾が阿吽ともに台座にかかる巧妙さ。さらに阿形の子獅子の尻尾は跳ね上がっており、吽形の子獅子の尻尾は垂れているなど、これでもかというほどのこだわりが見れます。

 台座に年号は見当たりませんでしたが、以下のページによると、明治十一年(1878年)の製作だそうです。この時代でこの保存状態も見事というほかありません。

 また、神社のホームページには、この蒲田の辺りは多摩川の河口にあたり、水の便が良いため交通の要衝となり、物資の集積地ともなっており、この神社も縄文時代の原始信仰と共に形作られた斎場が時代とともに推移して今日の形となったのではないか、とありました。大田区は狭い地域にかなり多くの神社が密集していることは、このような歴史的、地理的な背景があったからなのだと気づかされました。

蒲田八幡神社ー由緒ー(公式ホームページ)


<基本情報>
蒲田八幡神社
東京都大田区蒲田4-18-18


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<関連サイト>
◆「蒲田八幡神社目次ページ」(公式ホームページ)
◆「新宿八幡を改め蒲田八幡神社となった」(大田区の狛犬を訪ねて)